私は、これまで、融資を受けやすくする
ようになるためには、月次試算表と
資金繰予定表を作成し、毎月、銀行に
提出しましょうと、折を見てお伝えして
います。
また、部下になかなか自分の考えが伝わら
ないと考えている経営者の方には、月例
会議を開きましょうとお伝えしています。
そして、「資金繰予定表は作成している」
とか、「月例会議を開いています」と
お話しする経営者の方は、意外にも多い
ようです。
しかし、それでも思うように、事業が
進んでいない会社の様子を見てみると、
作成している資金繰表が自己流の様式で、
銀行には会社の状況が伝わっていな
かったり、会議を開いているといっても、
社長が一方的に話しをしている会議で
あったりということが多いと感じて
います。
自分自身では実践していると思って
いても、実は、表面的に実践している
状態で留まっており、中身がともなって
いなければ、実践しないことの方が、
無駄な時間を使っていないだけよいと
いうことになりかねません。
よく、「会議を開くことは無駄」という
フレーズを聞くことがありますが、
形式的な会議が開かれているのであれば、
それは本当に無駄でしょう。
しかし、会議を、従業員の間のコミュニ
ケ―ションの場と置き換えて考えてみたら
どうでしょうか。
「従業員の間のコミュニケーションの場は
無駄」という言葉は疑問を感じるのでは
ないでしょうか。
会議とはコミュニケーションを確保する
方法であり、コミュニケーションが確保
できない会議(例えば、社長だけが話しを
する会議)は、目的を果たしていません。
本来の目的を果たしていない形式的な
会議を開いておきながら、それで効果が
得られないという理由で会議を否定する
ことは、適切ではないでしょう。
とはいえ、会議を開いても効果が得られて
いないときに、何が原因かということは、
当事者では気づきにくいこともあります。
そういう時は、コンサルタントとは
言わないまでも、顧問税理士や、融資を
受けている銀行職員などに会議に参加
してもらい、感想を聞いてみるだけでも
改善のヒントは得られるでしょう。
資金繰表についても、私が銀行に勤務して
いたときは、お取引先の会社から提出を
受けた資金繰表の中には、自己流で作成
した資金繰表を多く見てきました。
そのような資金繰表は、自分が分かりさえ
すればよいという程度のもので、実は、
本当は精緻な資金繰管理が面倒だという
姿勢が伝わってくるものでした。
資金繰表についても会議についても、事業
そのものとは直接に関係がない事がらで
あり、経営者の方は、そこに時間や労力を
割くことが億劫と感じているのでしょう。
だからと言って、中途半端な管理を続けた
ままでは、いつまで経っても会社の事業は
改善しません。
自分の不得手な分野は、外部の方などに
問題はないか確かめるということを
通して、より効果の得られるものに改善
していく姿勢が肝要でしょう。