鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

キャリアパスを示す

中小企業の経営者は、よく、思った通りの

人材が集まらない、育たないという不満を

持っておられますが、その一方で、万策が

尽きているわけではないと私は考えて

います。


これは意外なことですが、従業員の方に、

どういった人材を必要としているのか、

どういった能力を身に付けてほしいのか、

ということを従業員の方に伝えている

経営者の方は少ないと感じています。


ここで、「うちの会社はちゃんと伝えて

いる」とお考えの方もいらっしゃると

思いますが、私がいう、「伝えている」

とは、キャリアパスなどを明示していると

いうことです。


会議、朝礼、懇親会の場などで、口頭で、

「こんな人材が欲しい」と経営者の方が

述べているだけでは、それは、伝えている

のではなく、単に経営者の方の要望を

口にしているだけです。


ただ、キャリアパスというものも、明確な

基準はないのですが、「昇進・昇格の

モデル、あるいは人材が最終的に目指す

べきゴールまでの道筋のモデル、仕事に

おける専門性を極める領域に達するまでの

基本的なパターンのこと」で、「企業が

キャリアパスを示すことで、従業員は

中長期的にどのようなスキルや専門性を

身につけていくべきかを理解できると

ともに、自己の目指すべき道を自己で

考察する材料ともなり、自己啓発意識の

醸成、モチベーション向上に資することが

できる」と言われています。


(出典:株式会社アクティブアンド

カンパニーのホームページ

https://goo.gl/8FW7G0


私は、キャリアパスについての深い

専門性は持っていないので、キャリア

パスについての記述はここまでと

したいと思いますが、このようなものが

ある会社とない会社は人材が育成される

速度は変わるでしょう。


なぜなら、既述の通り、キャリアパス

示されることで、従業員の方のモチベー

ションが高くなるからです。


また、会社の欲する人材が明確になる

ことで、無駄のない育成が行われる

ようにもなるでしょう。


ところが、問題となるのは、このキャリア

パスを作成することそのものが、難しい

ということです。


その理由のひとつは、会社の方針が明確に

なっていなければ、キャリアパスも作成

できないからです。


会社の方針も、キャリアパスも作成せず、

自社にはよい人材がいないと不満を持って

いる経営者の方は、単に、自分に都合の

よい人材がいないというわがままを言って

いるに過ぎないことになってしまいます。


「欲しい人材」と、その根拠となる、

「会社の方針」を示すことが、よい人材を

集めたり、よい人材を育成したりする

第一歩です。


もうひとつの理由は、キャリアパスの中に

従業員を課長や部長に昇格させる道筋を

示したしたとしても、近い将来、会社が

そのポストを用意できるかどうかわから

ないと経営者の方が考えるからです。


これを言いかえれば、従業員が頑張って

働いたときに、それに報いるポストを

会社が用意することを、キャリアパス

作成することによって、経営者の方が

従業員に対して約束することになって

しまうことを、経営者の方が避けたいと

いうことです。


これも、経営者の方の気持ちを理解でき

なくもないですが、「自分も会社を大きく

するよう頑張るから、君たちの力を貸して

欲しい」というスタンスで、経営者が

従業員に向き合わなければ、従業員の方の

士気も向上しないでしょう。


結論は、経営者の方が覚悟を示すことなし

には、従業員の方のやる気も得られないと

いうことです。

 

 

 

 

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