先日、私が出張から帰る電車の中で、
見知らぬ乗客の方が、「先日、ゴルフ
練習場に行ったら、『頼まれない
レッスンはしないでください』という
注意書きがあった」とお話しされて
いました。
きっと、ゴルフ愛好家で、腕のいい人が、
ゴルフ練習場に行ったとき、初心者が練習
しているところを見て、迷惑を省みずに
口を出してしまうので、このような注意
書きがあったのだろうと想像しています。
ところで、この話をきいたあと、これは
コンサルタントにもあてはまるのではと
思いました。
SNSなどを見ていると、実際に事業を
している人と同じくらいのコンサル
タントがいるように感じています。
事業をしている人でさえ、「●●の
コンサルティングもしています」と話して
いる時を見ることもあります。
要は、日本にはコンサルタントを名乗って
いるひとがたくさんいると感じています。
なぜ、コンサルタントがこんなにいるのか
ということを考えた時、前述の、頼まれて
いないのに、ゴルフのレッスンをする
ゴルファーと共通する要因があるのでは
ないかと思いました。
すなわち、人は、他人にものごとを教えた
がる欲求があるのではないかということ
です。
だから、コンサルタントと名乗り、困って
いる人に自分のノウハウや知識を伝える
ことで、自分の欲求も満たそうとしている
のではないかということです。
正直なところ、私にもこの欲求があると
いう自覚があります。
しかし、単に、その欲求を満たすこと
だけをしていては、クライアントに迷惑が
かかってしまいます。
確かに、経営者の方は幅広い知識を持つ
ことは有用ですが、時間が限られる中で
日頃の仕事にあたっているわけですから、
ために、不要なことまでをクライアントに
話しをしていては、非効率といえる
でしょう。
また、クライアントからも、そのような
コンサルタントは評価されなくなって
しまいます。
岡目八目ということばがありますが、
コンサルタントはクライアントの事業の
当事者でないことから、いろいろと
目に着くことを口に出してしまいたく
なるでしょう。
でも、コンサルティングの目的は、クライ
アントの事業の業績を高めることであり、
コンサルタント自身が満足することでは
ありません。
コンサルタントが、クライアントに伝える
べきことは、コンサルタントが話したい
ことではなく、クライアントが欲すること
です。
もし、クライアントが欲する内容でない
ことを話す場合は、コンサルタントは、
なぜ、そのことをクライアントに聞いて
欲しいのかということを説明し、相手に
納得してもらうことが必要でしょう。
結論としては、これは、少数だと思い
ますが、他人にものごとを教えたいと
いう欲求を満たすために、コンサル
タントになると、そのコンサルティングは
うまくいかないということです。
このことは、多くの方が理解されると
思いますが、常に自らを戒めていないと、
相手が聞きたくないことをいつまでも
しゃべっている面倒なコンサルタントに
なってしまうと思います。
ゴルファーは頼まれていないレッスンを
してはならないのと同様に、コンサル
タントは頼まれていないことを教えては
いけないと、改めて感じました。