リーダーシップについては、さまざまな
研究が行われていますが、リッカートの
その中で、私が面白いと思ったものに、
米国の心理学者である、リッカートの
唱えた、システム4理論があります。
リッカートは、リーダーシップによる
組織の管理システムを次のように、
4つに分類しました。
システム1:権威主義・専制型
リーダーは部下を信頼しておらず、意思
決定に参加させない一方で、部下は恐怖に
よって働かされる。
システム2:温情・専制型
リーダーはあまり部下を信用しておらず、
多くの意思決定はリーダーが行う。部下に
対しては飴と鞭により動かそうとし、
部下はリーダーを恐れながら仕事をする。
システム3:参画協調型
リーダーは部下の大部分を信用し、
最終的な決定はトップが行うものの、
個別的な事項に関する決定の権限は
部下に委譲されている。コミュニケー
ションも確保され、部下の管理活動への
参画も動機付けとなっている。
システム4:民主主義型
リーダーは部下に全幅の信頼を置いて
おり、意思決定も全員で行われる。かつ、
コミュニケーションも確保され、組織と
しても統率されている。
組織の状況や、おかれている環境に
よって望ましいリーダーシップの
あり方は変わると思われ、どれが優れて
いて、どれが劣っているとは言えないと
思いますが、リッカートによれば、
システム4の状態の会社が最も業績が
よいとしています。
このように書くと、民主主義型の
リーダーシップを目指すことが
望ましいということになりますが、
しかし、実は、民主主義型のリーダー
シップを実現するには、ある程度の
前提条件が必要になると私は考えて
います。
それは、従業員の方たちの習熟度です。
なぜなら、従業員の方たちにも意思
決定に加わってもらうことになる
からです。
しかし、これは、これまで私が何度も
述べてきていますが、一朝一夕で実現
することは難しいことです。
でも、業績のよい会社を目指すには、
このようなリーダーシップを実現
することがいちばんの近道であると
私は考えています。
とはいえ、多くの会社では、短期的に
利益を得たいと考える方が多く、結果と
して、温情・専制型か、または、権威
主義・専制型のような、リーダーシップ
でしか会社を率いることができない
経営者が多くなっていると思います。
今回の結論も、これまで私が述べてきて
いることと重なりますが、従業員の方の
習熟度を高めることが大切ということ
です。
従業員の方たちの習熟度が高まれば、
競争力が高い会社になることは間違い
ありません。
(リーダーシップ論については、
拙著「図解でわかる経営の基本
いちばん最初に読む本」を参考に
していただけると幸いです。