鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

用件を聞くのは野暮

西武ライオンズの元監督の伊原春樹さんが

読売ジャイアンツのヘッドコーチを務めて

いたときのエピソードを書いていました。


すなわち「(代走のスペシャリストで

ある)鈴木尚広選手を原監督が代走に

出そうとしたところ、鈴木選手は準備は

していたものの、たまたま何らかの事情で

もたもたしてしまった。


そこで、原監督は、別の選手を代走に送り

出した。


試合が終わったあと、原監督は鈴木選手に

もたもたしていたことを叱責した」という

ものです。


もちろん、原監督は鈴木選手に期待して

いたからこそ叱責していたわけですが、

代走や代打要員という選手は、監督の

立場に立って、自分の出番が来たらすぐに

グラウンドに立てるようにしていなければ

ならないということを示すエピソードで

あると思います。


私も、10年間、銀行の渉外をしていた

ので、このタイミングが重要であるという

ことはよくわかります。


お取引先の社長から急に電話がかかって

きて、「いますぐに会社に来い」と

言われたときは、99%は社長が私に

手柄を立てさせようというときでした。


手柄というのは、長年こちらから売り

込んできた契約に応じてくれるとか、

社長の知人を紹介してくれるといった

ことです。


忙しいからといって、社長からの電話に

もし「どういったご用件ですか?」と

きいたりしたら、「そういうのなら

来なくていい」と怒って電話を切られて

しまいます。


だから、私は忙しくても、社長からの

電話には用件もきかずに「わかりました。

すぐに向かいます」とだけ答え、社長の

もとに駆け込んでいったものです。


用件を聞くのは野暮というものだという

ことを経験しました。


このようなことは、逆のことも経験して

います。


例えば、かつて、私がパソコンを買い

かえる時、このWIFIも契約すれば、

パソコンを5万円値引きするという提案を

受けたときは、積極的に必要とは思って

いなかったWIFIも契約しました。


後になってみれば、WIFIを利用して

便利さを感じたので、ちょうどよい

タイミングで契約できたと感じています。


私のような営業経験が少ないものでも

このようなことを感じている訳ですから、

今回の記事は多くの方が分かっている

ような内容だと思います。


ただ、現実には、タイミングを狙った

営業活動を実践している人は残念ながら

少数だと感じています。


私が顧問先の営業力を高めようとする

ときは、無理に押し込み販売をする

よりも、タイミングを逃さないように

することを意識しようということを

提案しています。


この機微を感じて実践するということは、

いま話題のAIなどにはとってかわる

ことができないものであり、だからこそ

血の通う人が実践すべきことだと私は

考えています。

 

 

 

 

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