鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ことばは正しく使うべき

記事のタイトルは至極当然のことを書いて

いますが、今回は、文学的なことでは

なくて、ビジネスの観点から述べたいと

思います。


私は、学生時代は主に会計を専攻した

ので、文学が得意な訳ではありません。


したがって、上から目線で「ことばを

正しく使いましょう」などと、金田一

先生のようなことを述べる資格はあり

ません。


それでも、本を書いているものとして、

まちがってことばを使ってしまうと

恥ずかしいので、感動を得られるような

文学的な表現をすることはしなくても、

少なくとも間違った使い方はしない

ように気を付けています。


まちがって使われる言葉の例として

有名なものは「情けは人の為ならず」

です。


これは、私が説明するまでもなく、

他人のための善行は、巡り巡って

いつか自分に回ってくるので、

よい行いをたくさんしましょうと

いう意味が本来のいみですが、

たまに、他人に情けをかけることは

その人を甘やかすことになり、

その人のためにならないという

意味で使われることがあります。


とはいえ、誤った使い方が、その

まま使われるようになっている例も

あるようです。


例えば、大辞泉では確信犯とは

(1)道徳的、宗教的または政治的信念に

基づき、本人が悪いことでないと確信して

なされる犯罪。


(2)悪いことだとわかっていながら

行われた犯罪や行為。また、その行為を

行った人。


と両方の意味が載っています。

(出典→ https://goo.gl/4mZNnQ


(2)の意味は、かつては誤用とされて

いたものですが、文化庁の調査では、

(2)の意味で使っている人が約70%と

なっていることから、(2)の意味も

大辞泉に載ることとなったのでしょう。

 

さらに、ことわざとなると、やや難しく

なるようです。


「巧遅(こうち)は拙速(せっそく)に

如(し)かず」ということわざは、兵法で

有名な孫子のことばとして有名です。


これは、時間をかけて丁寧な仕事をする

よりも、多少の取りこぼしがあっても

迅速に仕事をすることを薦めることわざ

であると考えている方が多いのではないで

しょうか。


これは、古語ことわざ辞典によれば、

「戦争は戦術がよくないものであったと

しても、迅速に行動し早く終結させるのが

よいと説いたことばから、場合によって

は、ぐずぐずしているより、上手でなく

とも、迅速に物事を進めるべきだという

こと」だそうです。

(出典→ https://goo.gl/gsT8SB


すなわち、戦争というこのましくない

状況から早く抜け出すことを最優先

すべきだと述べているものであって、

決して迅速さを薦めたり、取りこぼしを

容認するものではありません。


しかしながら、このことばを誤解して、

「仕事を速く進めれば、不完全さは

容認される」と考えたり、さらには、

「早く終わらせさえすれば、仕事は

『四角な座敷を丸く掃く』的にやっても

構わない」というように考えている人を

見ることがあります。


ビジネスでは、効率さと完全さの均衡が

大切なので、すべて完全に行わなければ

ならないわけではないと私も考えて

いますが、省力化する場合は、きちんと

検討したうえで行うべきであり、単に

その場しのぎで何かを省くことは、

単なる怠惰になってしまいます。


私も含め、人は、自分に好都合の考え方を

取り入れるという習性がありますが、

ことわざなどを誤って理解し、そして、

それを自分の行動の正当化の理由にして

しまうと、さらに自分の行動の妥当性が

わかりにくくなってしまいます。


とはいえ、ことわざなどを正しく理解

していれば、このようなことを完全に防ぐ

ことができるようになるわけではありま

せんが、日々、惰性的に行動することなく

常に最良であるかどうかを考えながら

仕事に臨む必要があるでしょう。

 

 

 

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