弁護士の鳥飼重和さんが、ポッドキャスト
番組で、昔の失敗談を話していました。
そのお話しは、おおよそ、次の通りです。
鳥飼さんは、かつては、税務訴訟で
30回以上連敗した。
当初は、訴えた側は苦しんでいるのに、
裁判所はひどい判断しかしないと思って
いた。
しかし、元裁判官のある弁護士に話を
きいたところ、正義感だけで訴えいても、
裁判官には裁判所の論理があるのだから、
勝てる訳がないと気付いた。
そこで、事務所で勝訴研究会をつくり、
過去の税務訴訟の判決文を読んで研究
したところ、35回の判断を求めて、
25回、すなわち70%が鳥飼さんの
訴えを認めてもらえるようになった。
これは、他の訴訟では5%程度しか
勝てないことに比較して、圧倒的に
高い勝率となった、というものです。
このお話を聞いて、事業者が銀行から
融資を受ける場合にも共通する点が
あると思いました。
というのは、鳥飼さんが負け続けて
いたときは、その敗因は、正義感
だけで戦っていたという点です。
融資を受けたいと考えている経営者の
方たちで失敗した人たちの例を見ると、
「自分はなぜこの事業をしようとして
いるのか」ということや、「なぜ、
自社にお金が足りないのか」とい
ことばかりをお話ししてしまいがち
ということです。
お話しする内容は事実であったとしても、
また、それをどれだけお話ししても、
それだけでは銀行は融資はできません。
融資の承諾を得るには、銀行から見て
この会社に融資をしても大丈夫である、
この会社に融資をすることは、銀行から
見てメリットがある、ということが
伝わらなくては、いくら説明をしても
意味はありません。
すなわち、「私は融資が必要です」と
いう、一人称でお話ししても無意味で
あり、「あなた(銀行)は、私に融資を
しても大丈夫です」という二人称の
お話をする必要があります。
私も融資のご相談を受けるときは、
二人称のお話をするように助言を
しています。
では、二人称のお話しの内容は、どの
ようなものにすればよいのかという
ことについては、別の機会に書きたいと
思います。
(「別の機会を待てない」という方は、
こちらから、私に、直接お問い合わせ
ください。 )
なお、融資を受けるには、銀行に対して
へりくだったり、また、融資を受ける
ために、特別な対策をとらなければ
ならないということではありません。
原則として、黒字を計上している会社に
対しては、銀行はたくさん融資をしたいと
考えています。
本業に専念することが大切であるという
ことにはかわりはありません。