鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

後ろ向き駐車

数年前のことですが、

東日本大震災に関する

テレビ報道を視ました。


その報道では、地震の直後、

消防団の人たちが自動車に乗って

海岸付近を見回っていて、

崖の端で自動車を降りた時、

津波が自分たちに向かって来る

ところだった。


消防団の人たちが乗ってきた自動車は、

降りる時に方向転換をして、

山側に向けて駐車してあったので、

直ちに津波から逃げることができたが、

もし、自動車を山側に向けずに

駐車していたら、

方向転換をしている間に、

津波に巻き込まれていただろうと

いうことでした。


私は、この報道を見たとき、

普段から方向転換をしている習慣が、

消防団の方たちの命を救ったのだと

思いました。


この例は、少し極端ですが、

普段の少しの心がけが、

いざというときに、

大きな差となって現れるという

よい例だと思います。


ところで、

経営コンサルタントの野田宜成が、

次のようなお話をされていました。


すなわち、かつて、野田さんは、

経営コンサルタントの舩井幸雄さんと

いっしょに、コンサルティング

お仕事をしていた時代があり、

その際、二人でホテルに

宿泊したことがあったそうです。


そして、舩井さんは、

ホテルをチェックアウトする前に、

なるべくベットや寝具を整えるように

していたそうです。


これを見た野田さんは不思議に思い、

「ベッドメーキングは、ホテルの

清掃係の方がやってくれるのに、

なぜ、舩井さんがベッドを

整えるのですか」と尋ねたそうです。


これに対し、舩井さんは、

「確かに宿泊料にベッドを直す

手間まで含まれているだろうが、

清掃係の人たちの手間を減らせば、

清掃係の人たちは、よりよい

サービスを提供するための

勉強をする時間ができるだろう」と

答えたそうです。


このお話を聞いたとき、私は

舩井さんの考え方は立派だとは

思う一方で、舩井さんの思いは、

果たしてホテルの清掃係の人に

届くのだろうか、すなわち、

舩井さんのような配慮は

意味があるのだろうかという

疑問を持ちました。


しかしながら、前述の、

津波から逃れた消防団の方たちの

習慣のことを考えると、

舩井さんのようなわずかな

配慮というのは、決して

無意味ではないというように

思えました。


また、舩井さんは、

すばらしい実績を残されて

おられる方ですから、

前述の例のような、

わずかな心がけが、

大きな実績につながっていると

いうことの

実証になっていると思います。


事業を成功させるためには、

大きなチャンスをつかむことと

考える方が多いと思いますが、

私は、この小さなことの

積み重ねをすることなしに、

ビジネスチャンスは訪れないと

思っています。


または、小さなことに配慮が

行き届くからこそ、

他の人には見えない

ビジネスチャンスが

見えるようになるのでしょう。


こう考えると、

自動車を前向きで駐車する

ビジネスパーソンや、

ホテルを出る時に、部屋を

ちらかしたままにしてしまう

ビジネスパーソンを見ると、

私は残念な方たちだと

感じてしまいます。

 

 

 

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