いま、合成の誤謬が
景気がよくならない
原因のひとつとして
あげられています。
合成の誤謬を具体例で述べると、
景気の先行きが悪いために、
個人では将来に備えて
貯蓄を増やすものの、
その行動は、
社会全体からみると、
景気をますます冷え込ませてしまう
原因になっているということです。
すなわち、
個人レベルでは
不景気への備えになることが、
社会全体では、
ますます状況を悪化させてしまうと
いうことです。
ここから先は私見ですが、
会社においても同じようなことが
起きていると感じています。
例えば、
現在の若者は、
自動車を購入したり、
飲酒をしたりしなくなったことが、
景気悪化の一因となっていると
言われています。
しかし、それは、
会社が原価を下げるために、
若年者の世代に対して
正社員としての採用を減らしたり、
給与水準そのものを
あげて来なかったことが、
消費意欲を下げていると
言われています。
ですから、
ひとつの会社としては、
原価を下げるという
正しい行動が、
社会全体としては、
消費意欲を引き下げて、
それが、巡りめぐって
自社の経営環境を悪化させて
しまったということです。
そのような反省もあると思うのですが、
ある大手コンビニエンスストア本部では、
給与水準を引き上げて、
消費意欲を高めようという試みを
行ったようです。
とはいえ、多くの会社では、
「給与の引き上げどころか、
とにかくいまを乗り切ることで
手がいっぱいだ」と感じておられる
ことでしょう。
でも、消費意欲を高める方法は、
給与引き上げ以外でも
行うことができると思います。
福島県にある、
大手ラーメンチェーン店では、
出産・育児のために退社した従業員を
積極的に再雇用しているそうです。
会社としては、育成した人材が、
出産・育児のために退社しても、
また自社で働いてくれれば、
人材を育成する費用を減らせるという
もくろみもあるでしょう。
でも、それだけでなく、
そういった会社の方針を
従業員が理解していれば、
前向きに出産・育児を
考えられるようになり、
わずかかもしれませんが、
出生率の低下を緩めたり、
世帯収入を増やして
消費意欲を高めたりすることに
貢献することになるでしょう。
また、そういった会社は、
社会的な評価も高くなり、
優秀な人材が集まることにも
つながるでしょう。
このようなことに限らず、
わずかなことでも、
社会全体に貢献する姿勢を
打出すことは、
長い目で考えれば、
自社の業績向上につながると
私は考えています。