鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

価値を生み出しているもの

だいぶ前のことですが、
経営コンサルタントの石原明さんが、
ご自身が制作している
ポッドキャスト番組で、
「テーブルにあるタッチパネルの端末で
注文を受けている飲食店は、残念なお店だ」
という主旨のお話しをされておられました。


これは、
「飲食店」は「飲みものと食べもの」を
提供して利益を得ているのではなく、
「従業員の方との会話」を提供して
利益を得ているからだと、
石原さんは考えておられるからです。

そして、この考え方に同意される方も
たくさんおられるでしょう。

タッチパネルで注文を受けることは、
確かに効率性やスピードの観点からは
利点があります。

しかし、それは、
「飲みものや食べもの」を求めに来ている
人だけに得られる利点です。

では、例えば、
「ビールを飲みたい」という人は、
わざわざ店に来てビールを飲む
必然性があるでしょうか?

単にビールを飲むだけならば、
量販店でビールを買って
家で飲むほうがリーズナブルです。

店に来てビールを飲む人は、
ビールを飲むために店に来ている
訳ではないといことは明白なのに、
本来の目的を得られるように
していないとうことは、
本当に残念な店となってしまいます。

このような例は、
他の業種でも見られます。

DVDレンタル店の最大のライバルは
スマートフォーンだそうです。
DVDレンタル店には、
DVDを観たい人が来るのではなく、
(本当にDVDを観たい人もいますが)
余った時間を過ごす手段を得るために
来ています。

ですから、
スマートフォーンで遊べる
おもしろいオンラインゲームが
発売されると、
レンタルDVD店の売上に影響する
そうです。

もうひとつ例をあげると、
コンビニエンスストアのライバルは、
ファストフード店といわれています。
コンビニエンスストアは小売業で、
ファストフード店は飲食業ですから、
業種としては異なりますが、
どちらのお店でも、
すばやくご飯をすませることが
できるという点では共通しています。

ですから、どちらも、
時間を節約したいという人を
奪い合っているということになります。

以上、2つの例をあげましたが、
私も、自社の事業がなぜ利益を
得られているのかということを
把握できずに、間違った方向に
事業展開をしようとしている
会社の例をしばしば見かけます。

自社の事業が利益を確実に得られる
ようにするためには、
顧客が自社に何を求めているのか
ということも的確に把握していな
ければなりません。

 

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