事業の改善をお手伝いする会社で、特に社長が会社勤務などの経験を経ずに立ち上げた会社にこの傾向が多いのですが、例外処理が多い会社が少なくありません。例外処理が多いという言い回しをするよりも、仕事の内容に統一性がないという表現をする方がよいかもしれません。抽象的な表現ですが、例えば顧客からの商品の受注の仕方や、商品の納品の仕方など、顧客ごとにばらばらで、相手に合わせて仕事をするというような感じです。
このような状況になったのは、顧客に合わせて受注を取るということを繰り返してきたからでしょう。もちろん、受注を取ることを最優先であり、やむを得ない面もありますが、このやり方では仕事が属人的になり、事業規模の拡大に限界が出てしまいます。理想的な方法は、開業時点で標準的な仕事の流れを制定し、顧客の要望に合わせてカスタマイズするということでしょう。これができていない場合は、開業後であっても標準的な仕事の流れを決めて、徐々に現状を変えていくということが必要でしょう。
ここまでは至極当りまえのことを書いてきましたが、この記事で述べたいことは、仕事の標準化という作業はものすごく地味であることから、経営者はあまり関心を持たず、後回しになってしまうということです。話がずれるように思うかもしれませんが、会社が株式公開を目指そうとするとき、内部統制の体制を整備するという作業は、この標準化よりももっとたいへんな作業になります。
内部統制の体制整備には、仕事を可視化することも含まれており、利害関係者が多くなる会社では、「仕事のやり方は、社長や従業員の頭のなかに入っている」という状況は許されません。もちろん、すべての会社が株式公開を目指すわけではないので、法律上の内部統制の体制整備をする必要はないのですが、それでも、標準化された仕事のモデルを作らず、いつまでも顧客に合わせて仕事をするということを繰り返していては、事業の成長は限界が出てくるでしょう。