コンサルタント側からの意見を述べさせていただくと、「コンサルティング報酬は成功したときに支払いたい」と言われることがあります。このような条件でのコンサルティングは断っています。理由は、報酬がもらえなくなるかもしれないからということではなく、経営者の方ご自身が、自ら行おうとする事業に自信がないということを述べているからです。報酬を支払う条件が成功であるとすれば、それは、コンサルタント側に事業のリスクの一部を負担させているということです。
これについては、異論もあると思いますが、私は私自身の事業に関するリスクは負うものの、コンサルティングする相手の事業に関するリスクはその方自身が負うべきものと考えています。逆のことを言えば、コンサルティングした相手が成功したとすれば、それはすべてがその方の実力と考えています。したがって、コンサルタントの方の中には「自分がコンサルティングしたから、顧問先が成功した」と吹聴する人がいますが、私はそのような考え方はしません。
話を戻すと、成功を条件に報酬を支払うという条件では仕事を受けないというのは、コンサルタントにリスクを負わせるからでもなく、依頼者自身が自信を持っていないからでもありません。事業には失敗することもあるからこそ挑む価値があるのであり、だからこそ全力で取り組もうという気持ちになっていないからです。ある面では、事業のすべての責任を負うからこそ経営者に就けるわけです。その覚悟を持っていなければ、本気で事業に取り組んでいるライバルに容易に敗れてしまうでしょう。