平成25年12月に経営者保証ガイドラインが公表されて3年近く経ちますが、これについてはまだ誤解が多いように感じています。誤解というのは、「銀行は融資先の目利き能力が少ないため、事業そのものをよく見極めずに、むやみに経営者の保証を欲しがっているという状況をあらため、事業そのものを評価して経営者の保証に頼らない融資をすることを目指すためのもの」というように思っている方が多いのではないでしょうか?
確かにそのような面もありますが、経営者保証ガイドラインの原文を読むと、どちらかというと、融資を受ける側の改善の方に比重があるように私は考えています。というのは、融資を受ける側には(1)会社と経営者の間の資産の明確な分離、(2)経営基盤の強化(=業績の向上)、(3)財務状況の透明性確保の努力が求められています。
(2)の業績については横に置き、(1)の社長と会社の財布を分けることや、(3)の決算書の適時かつ迅速な開示については、これらが行われていなければ、銀行が目利き能力を高めていても、事業の見極めは不可能でしょう。特に、会社と社長の財布が同じ状態の会社は、経営者に対して保証を求めることはやむを得ないと思います。
このような指摘は私が書くまでもなく当然の事なのですが、まだまだ社長と会社の財布がひとつであったり、透明性の高い財務報告を行っている会社は、少数派であると思います。融資を受ける側のこのような状態が変わらない限り、経営者保証ガイドラインの効果は限定的となるでしょう。
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