弁護士の鳥飼重和さんがポッドキャスト番組で、次のようにお話しされておられました。すなわち、ある独立弁護士さんからの質問で、弁護士を雇いたいが優秀な弁護士を雇うと顧客を奪われて独立されてしまわないかという質問に対して、その懸念はあるものの、優秀でない弁護士を雇うよりも優秀な弁護士を雇い、しっかり仕事をしてもらうことの方が自分のためになるといものです。
私も同じような悩みを経営者の方から相談されることがあります。部下にはしっかり仕事をしたいので、研修を受講させたり、資格取得を奨励したりしたいのだが、一方で、育成したことによって独立されてしまわないかというジレンマを中小企業経営者の方は感じているようです。
これについては、100%経営者の方の思う通りにはならないとは思いますが、私は部下の育成をすることをお薦めしています。確かに能力を得た部下は独立してしまう可能性はありますが、育成したからといってすべての部下が独立してしまったり、また、独立するまでには一定の期間がかかります。ですから、部下を育成して、しっかりと仕事をしてもらうことの方が得策でしょう。
また、部下を育成する姿勢が明確になると、部下の方たちの士気もあがるし、優秀な人材も集まりやすくなります。そして、仮に、自社から部下が独立したとしても、多くの場合はその元部下の方とは独立後もよい関係が続き、自社の事業にとってもよい影響を受けられると考えます。