本田技研の創業者の本田宗一郎さんは「まず自分のために働け」と従業員の方にお話ししていたそうです。本田さんは、従業員の方が自分のために一生懸命に働くことが会社のためになる、軍隊のように従業員の方が犠牲になることは望んでいないと考えていたそうです。(もちろん、本田さんは利己主義は否定しており、会社や同僚の方との協調性も重要だと考えておられたようです)
いっぽうで、現在の日本では、従業員の過労死が問題になっています。そこまでいかなくても、従業員や部下を召使のように扱っている会社も少なくないと思います。そのような関係であれば、単に、経営者と従業員、上司と部下の関係は、表向きだけを取り繕う関係であり、真に従業員や部下の能力を発揮できる機会を奪うでしょう。
真に会社のために従業員の方や、部下の方に能力を発揮してもらいたい、そして、それを会社の業績の向上につなげたいと考えているのであれば、本田さんのような考え方を持たなければならないでしょう。私がここで書くまでもありませんが、従業員の方や部下の方の犠牲の上に会社が業績をあげているとすれば、早晩事業は行き詰り、不幸な結果を招くことになります。
その一方で、「従業員(または部下)に自分のために働かせて、業績があがるのか」という疑問を持つ方がいるでしょう。そう考えるのであれば、経営者(上司)にならずに、従業員(または部下)のままでいればいいでしょう。これを言いかえれば、そのような疑問を持つのであれば、経営者に就いたり管理者として出世してはいけないのです。