鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

2022-01-01から1年間の記事一覧

部分的な数値だけで財務分析はできない

[要旨]9月末に、日本銀行が、所有する国債について、8,749億円の含み損が発生したことについて、日本経済新聞は、「市場の厳しい目が注がれる可能性がある」と指摘しました。しかし、この含み損は実現するものではなく、また、日本銀行が所有する国…

事業拡大には勘に頼らない経営が必要

[要旨]串カツ田中ホールディングスは、今年の6月に、代表取締役が、創業者の貫さんから、公認会計士の資格を持ち、CFOだった、坂本さんに交代しました。これは、貫さんが、事業を拡大するには、勘に頼ることなく、根拠を持って判断することが重要とい…

無借金経営は銀行支援を受けられない

[要旨]航空会社のスカイマークは、無借金経営であったにもかからわず、2015年に民事再生法の適用を申請しました。もし、同社が銀行から融資を受けていれば、メインバンク制度によって主力銀行が同社を支え、民事再生法適用申請に至らなかったと考える…

手許現金の原資は利益だけではない

[要旨]手許現金が多い会社に対して、それは利益の多さでもあると誤認し、手許現金に課税すべきと考える方もいるようです。しかし、手許現金は、必ずしも、利益の多さではなく、銀行からの融資などで調達したものも含まれています。こういった、会計実務を…

機械を買っても利益は減らない

[要旨]京セラの稲盛さんは、かつて、ビジネスに成功したとき、多額の税金を納めることになったことから、翌年は、機械を購入し、手許の現金を減らしました。しかし、手元の現金を減らしたからといって、利益が減ったことにはならず、引き続き、多額の税金…

内部留保に課税することは矛盾がある

[要旨]日本の会社の内部留保の額が、過去最高を更新し、約516兆円となったことなどから、内部留保に課税すべきという意見を聞くことがあります。しかし、それは、法人税率を引き上げることと同じであることから、内部留保に課税すべきと主張する人は、…

努力しない会社は支援の対象外とすべき

[要旨]コロナ禍にあって業績が悪化している会社が増えていますが、中には、業績を回復させるために懸命の努力を続けている会社があります。そのような会社は、政府の支援策の対象とするべきです。一方、経営者が公私混同をしたり、会計記録を不適切に行っ…

浮き貸しと背中合わせの銀行職員

[要旨]1998年に銀行職員が顧客を殺害するという事件がありましたが、これは、銀行職員が違法な浮き貸しをしたことの発覚を隠そうとしたことによるものです。この事件が起きた背景には、景気後退局面で融資をしにくい環境にあって、銀行職員が顧客と銀…

統合バンキングクラウドによる影響

[要旨]40の銀行が、基幹システムをクラウドサービスに切り替えることが公表されました。この流れは、やがて、融資システムなども統合されることが予想されます。これによって、複数の銀行が同一の融資規則で融資業務を行うことになり、融資業務が変わる…

銀行取引が不慣れな会社は倒産しやすい

[要旨]東京都内の信用金庫では、ゼロゼロ融資の利用者のうち、それで初めて融資取引を開始したという会社は、倒産する傾向が高いそうです。そのような会社の経営者は、金融機関との取引に不慣れで、事前に金融機関に相談をせず、むしろ、業況悪化は金融機…

ゾンビ会社はなぜ減らないのか

[要旨]日本には、全体の約1割の、16.5万社のゾンビ会社があると言われています。これらの会社がなかなか減らない要因は、ゾンビ会社は立場の弱い会社として政府の手厚い支援があること、また、経営者が外聞を気にして、なかなか、銀行への支援を求め…

努力しない会社には銀行の融資も困難

[要旨]財務情報の透明化や、事業計画に基づく事業活動とその管理などの、経営者保証なしで融資を受けられるようにするための対策は、そもそも、業績を高めるための基本的な活動です。逆に言えば、これらの活動を怠っている会社は、経営者保証を外してもら…

事業計画に基づく活動を銀行は評価する

[要旨]会社が、個人商店の状態から、組織的な活動を行うようにするためには、人材育成などから着手する必要があります。ただし、銀行に対しては、事業計画を作成した上で、実績の差異を分析し、その結果を定期的に報告することによって、経営者が管理活動…

社長は4番打者か、それとも、監督か

[要旨]会社を野球チームに例えると、社長が4番バッターでエース投手の状態の会社は、その社長がいなければ、事業活動はできない状態です。一方、社長が監督の役割に徹し、チームワークを高め、各メンバーそれぞれが役割を発揮できるように働きかけている…

『会社=社長』から『会社≠社長』へ

[要旨]ある程度の割合の中小企業は、経営者の個人的信用で事業を営んでいる面があります。このことは、外見的には会社の事業であっても、実態としては、個人事業の状態といえます。したがって、このような状態の会社に対して融資を行うとき、銀行は、経営…

中小会計要領で財務諸表の透明化を図る

[要旨]銀行が中小企業への融資の条件として、経営者に保証を求める意味合いは、経営者の個人財産で融資を返済してもらおうとするというよりも、会社への融資を、経営者が私的に流用することを防ぐという意味合いが高いものです。したがって、中小会計要領…

融資を受けられない会社が増加する?

[要旨]金融庁の監督指針の変更により、経営者保証を条件を条件とする場合に説明をすることが義務化されると、ある程度は、経営者保証を条件としない融資は増えると思われます。しかし、経営者保証ガイドラインで示されている、経営者保証を求めない要件を…

2023年から経営者保証に説明義務

[要旨]金郵庁は、監督指針を変更し、2023年から、中小企業に融資をする条件として、経営者を連帯保証人にする場合、その理由を説明する義務を課す方針のようです。しかし、中小企業の多くは、経営者保証ガイドラインの経営者保証が不要となる要件を満…

ミクロの向こうにマクロのトレンド

[要旨]かつて、セブンイレブンでは、アイスクリームを低価格で販売していたところ、品質も下げることになり、ますます顧客から支持されなくなりました。そこで、この悪循環を断ち切ろうと考えた鈴木敏文さんは、顧客の動向から、顧客は高品質のアイスクリ…

『手軽さ』に『上質さ』をちりばめる

[要旨]セブンイレブンの鈴木敏文さんは、顧客の潜在的ニーズを見つけるために、上質さと手軽さの2つの軸を使ったポジショニング分析を行い、その空白地帯に適合したセブンプレミアムやセブンカフェなどの商品開発を行った結果、それらはヒット商品となり…

否定論は既存の定義を前提としたもの

[要旨]鈴木さんは、セブンイレブンでおにぎりやお弁当を販売しようとしたときや、セブン銀行を設立しようとしたときに、周囲から反対を受けました。しかし、それらの反対は、それらの商品を既存の定義を前提としていたため、妥当なものではありませんでし…

『単なる作業』ではなく『本当の仕事』

[要旨]鈴木敏文さんが、米国のセブンイレブンの事業再生を行ったときは、従来は、従業員の方は、マニュアル通りに動くことを求められていたのに対し、従業員の方に権限を持たせ、発注業務を担ってもらいました。このことで、従業員の方たちのモラールが高…

消費者起点で新たな供給連鎖を構築する

[要旨]鈴木敏文さんは、異業種間競争の時代は、企業内の閉じた活動の範囲内で価値を生み出そうとするのではなく、既存の活動範囲や業界の境界を越えて、新たな供給連鎖を構築することが重要だと述べておられます。したがって、これからは、顧客体験価値を…

異業種間競争の先鞭をつけた存在

[要旨]顧客がものを買う時代ではなく、ことを買う時代になった現在は、競争は、同業他社ではなく、異なる業種の会社と起きるようになっています。セブンイレブンでは、手軽に食事を済ませるという顧客体験価値を実現していますが、それは、ファミリーレス…

真の競争相手は変化する顧客のニーズ

[要旨]鈴木さんが日本でコンビニエンスストア事業を始めるきっかけとなった、米国のセブンイレブンは、スーパーマーケットをライバルと捉えていた結果、価格競争に走り、経営が行き詰ってしまいました。一方、鈴木さんは、自社の真の競争相手は、変化する…

伝わらないのは存在しないのと同じ

[要旨]セブンイレブンは、商品開発や売場の開発で業績を高めてきましたが、かつて、ブランドの表示が不統一のままでした。しかし、ロゴやパッケージを統一したことで、顧客にセブンイレブンの開発した商品であることを認識されやすくした結果、売上増加率…

陳列方法で冷凍食品の売上が5倍に

[要旨]セブンイレブンでは、「コト」を買いたいという消費者のニーズに、より深く対応するために、商品の品ぞろえや、その陳列の方法を、商圏の特性に合わせて実践しています。このような、品揃えや陳列も、顧客体験価値を実現する手法になりますが、その…

損をする苦痛は得をする満足の2倍以上

[要旨]イトーヨーカ堂では、鈴木敏文さんの発案で行った下取りセールが大ヒットしたことがあります。これは、衣類5,000円を買うごとに、古着1着を1,000円で買い取るというものですが、これは、人は得をするよりも損をしたくないという、損失回…

コンビニエンスストアからCXストアへ

[要旨]セブンイレブンでは、消費者が、モノにお金をかけるのではなく、自分が体験したいコト(イベント)にお金を使う、すなわち、モノを買う時代から、コトを買う時代へと変わってきたことに対応し、独自ブランドの商品を開発したことから、高い競争力を…

セブンイレブンの強さはCXの大きさ

[要旨]平均日販が65万円のセブンイレブンは、ローソンやファミリーマートと比較して、約30%上回っていますが、これは、CX(顧客体験価値)の差であると考えられます。このCXとは、購買体験を通して得られる心理的価値、すなわち、「コト消費」の…