鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

2016-01-01から1年間の記事一覧

陰徳

中国の前漢時代の哲学書である「淮南子(えなんじ)」に、「陰徳あれば必ず陽報あり」という教えがあるそうです。解説するまでもなく、「人知れずよいことを行う者には、必ず目に見えてよいことが返ってくる」という意味であり、日本でも実践している人は多…

社長はわがまま

ある経営者の方から「社長はわがままな人が多い。わがままだから、サラリーマンではなく社長になるんだよ」という話をきいたことがあります。私も、この意見には心あたりがあります。ひとつの例を挙げれば、私が銀行で働いていたときのことですが、取引先の…

東大生を養子にする

経営コンサルタントの石原明さんが「自分の息子を東大生にしたいと思っている人は多いが、東大生を養子にしても満足する人はいないだろう」という趣旨のことをお話しされていました。実の息子を東大に入学させても、東大生を息子にしても、どちらも「東大生…

自社のウリは何か

リッツカールトンホテルの日本支社長だった高野登さんが、かつて、次のようなお話をされておられました。すなわち、高野さんは1,000人以上もの顧客とその家族の顔を暗記している。そして、お得意さまが家族とホテルに来たときは、ただちにあいさつに向…

言い訳のためのコンサルティング

今回は、私の失敗談を書きます。このようなケースは何回か受けたのですが、コンサルティングを依頼しておきながら、本心は事業の改善を望まないという経営者の方からの仕事を依頼を受けたことがありました。「コンサルティングを依頼しておきながら、事業の…

融資対策が必要な理由

「銀行から融資を受けられるようにするにはどうすればいいですか?」という質問を受けたとき、私は「なにもする必要はありません」と答えます。これだけですと誤解を生みやすいので、もう少し丁寧に書くと「会社は利益を得ることが目的ですから、その目的通…

例外の多い会社

事業の改善をお手伝いする会社で、特に社長が会社勤務などの経験を経ずに立ち上げた会社にこの傾向が多いのですが、例外処理が多い会社が少なくありません。例外処理が多いという言い回しをするよりも、仕事の内容に統一性がないという表現をする方がよいか…

怒られた会社に訪問する

私が銀行で働いていて融資先を訪問したとき、訪問先の会社の社長に怒られたことが何度もありました。怒られる原因は、私に原因があるときもあれば、私に原因がなくて単に社長の気分が悪かったときもあります。しかし、怒られたからといって、立場上「もう訪…

うるさい人をそばに置く

会社の経営者、特に自ら起業した人は、自分のアイディアを実現したいという思いが強いと思います。だからこそ、それを拒もうとする人は遠ざけたいと感じるでしょう。私が銀行で働いているときにも、さまざまなアイディアに基づく融資の申し込みに対し、「そ…

ホスピタリティ

誰がお話ししていたかははっきり覚えていないのですが、ある著名人が、福岡でタクシーに乗った時に感動したということをお話しされていました。なぜ感動したかというと、タクシーを降りようとしたとき、運転手さんが、タクシーに乗車中に話した内容について…

ストレスを感じる広告

小売業の新聞折込広告は売上を高めることが主な目的と思いますが、ときどき目的を取り違えていると感じるものを見る時があります。例えば「たまご1パック100円」と広告で告知しておきながら、開店1時間で100円のたまごは売切れているという例はよく…

立ち話をしない

どの本なのかは覚えていないのですが、稲盛和夫さんは従業員の方などと廊下での立ち話はしないようにしていると、本に書いておられました。それは、かつて、稲盛さんと従業員の方との間で、片や報告した、片やきいていないということがあり、それが会社の大…

後継者

会社の事業は半永久的に継続するという意味のゴーイング・コンサーンという言葉は多くの方が理解しておられると思います。しかし、経営者が事業に携われる期間は限られています。というのは、高齢になれば正しい経営判断が出来なくなってくると考えることが…

社長はポジションではなくファンクション

このことは機会があるたびに私が述べてきており、また、理解してくださる方も多いと思うのですが、その一方で、なかなか実践されていないと感じています。すなわち、社長(というポジション)に就任したいと考える方は多いものの、社長の役割(ファンクショ…

神さまとスマートフォン

芥川賞作家で臨済宗の寺院の住職である玄侑宗久さんが、ラジオ番組で「スマートフォンが宗教離れに影響している」という旨のお話をしていました。というのは、「『松の木の立っている場所は、神のお告げ待つ場所だったから、マツという名前になった』という…

電子メールの返事

私は電子メールを受け取った時、必ず返事を書くことにしています。質問が来ていれば当然返事を書くことになりますが、単なる報告であっても、報告のお礼を書きます。(これはちょっと笑い話になりますが、私と同じような習慣を持つ相手から電子メールが届く…

会社は誰のものか?

「会社は誰のものか?」という問いに対しては、株式会社を前提とすると、法律(会社法)では株主のもの(=株主は株式を持っており、かつ、株主総会が最高意思決定機関になっている)ということになっており、私も基本的にはこの考え方です。 しかし、この考…

成功報酬

コンサルタント側からの意見を述べさせていただくと、「コンサルティング報酬は成功したときに支払いたい」と言われることがあります。このような条件でのコンサルティングは断っています。理由は、報酬がもらえなくなるかもしれないからということではなく…

うがった見方

文化庁のホームページによれば、「うがった見方」について、本来の意味の「物事の本質を捉えた見方をする」で使っている人は26.4%である一方で、「疑って掛かるような見方をする」という誤った意味で使っている人は48.2%いるそうです。小職ももの…

コストダウン

第一生命保険さんの実施しているサラリーマン川柳コンクールの第12回で、「コストダウン さけぶあんたが コスト高」という川柳が1位になったことがありました。私も、かつて会社員時代に、当時の上司(実は、職場では、「昼行燈」と思われていた人なので…

不純な動機

私が相談を受ける経営者の方の中に、不純な動機で事業を始めた人をしばしば見かけます。不純と言っても、この記事で述べようとしているのは、事業そのものよりも、「社長」というポジションに就いたり、肩書を持つことが最大の目的となっていて、事業を伸ば…

円環的対応

経営者の方の多くは、例えば、「朝、出社してきても、覇気がない」などと、部下の方の姿勢に不満を持つことが少なくないようです。これについては、原因はいくつかあると考えらえられますが、円環的対応(circular response)という考え方から、その原因のひ…

霧の中を行けば、覚えざるに衣しめる

「霧の中を行けば、覚えざるに衣しめる」とは、永平寺を本山とする曹洞宗を開いた道元禅師の残した言葉です。意味としては、霧の中を歩いていると、知らないうちに衣服が湿ってしまうように、よい人と交流をしていると自分もよい人となるという意味で、多く…

ワンランク上の人と付き合う

本田健さんが「自分を高めたければ、ワンランク上の人と付き合うようにするとよい」お話しされていたので、私もそうなるよう心がけています。 ワンランク上の人とは、例えば、売上高が自社より10倍の会社の経営者、業歴が自分より20年以上長い経営者、従…

仕事と宗教

多くの研究者の方が指摘しているように、私も仕事と宗教は密接な関係にあると思います。宗教といっても、ここでは特定の宗教ではなく人の心にある宗教心を指します。その最も有名な例が、マックスウェーバーの主著「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の…

経営者保証ガイドラインに関する誤解

平成25年12月に経営者保証ガイドラインが公表されて3年近く経ちますが、これについてはまだ誤解が多いように感じています。誤解というのは、「銀行は融資先の目利き能力が少ないため、事業そのものをよく見極めずに、むやみに経営者の保証を欲しがって…

従業員の方の意見を聞き入れる

従業員の方に対して「自立的に活動しないし、仕事については何も意見を言ってこない」という経営者の方は少なくありません。そのような悩みを持つ経営者の方がいる一方で、従業員の方にいきいきと働いてもらうことに成功している会社もあります。そのような…

とんがる

私が銀行で働いていたときは、バブル経済がしぼむ時期でした。このバブル経済が頂点に達するときは、当時のある都市銀行の頭取が「向こう傷を恐れるな」という指示を出して、融資を拡大していたことは良く耳にします。とはいえ、悪い意味で向こう傷を恐れな…

従業員の方の働き方

自ら創業した経営者の方に多いタイプが「自分が若いときは、寝る暇もなく働いたのに…」とことあるごとに話をし、残業を嫌がる従業員に不満を漏らす方です。これについては、改めて言及するまでもなく、創業経営者と従業員の方の間では立場が違う訳ですから、…

なぜ業績が上がらないのか

私は経営コンサルタントとして事業の改善のお手伝いをしていますが、なかなか業績のあがらない会社さまはたくさんあります。では、なぜ業績があがらないのかというと、恐らく、多くの方は、「経営環境が厳しく、業績があがる方法がなかなか見つからないから…