鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

SBIグループと筑邦銀行の資本業務提携

先日、筑邦銀行が、SBIグループとの資

本業務提携を行うと公表しました。


(ご参考→ https://bit.ly/3ameVhc


とはいえ、「SBIホールディングスは、

同行の発行済普通株式総数の3%を上限と

して、既存株主より取得する予定」とのこ

とであり、「本資本提携にともなう第三者

割当増資等による新株発行の予定はない」

とのことであり、金融的な支援の色合いは

薄いように思います。


ちなみに、同行の発行済株式総数は、昨年

3月時点で約625万株であり、株価も約

1,980円程度ですから、SBIグルー

プが同行の3%の株式を取得するとした場

合の金額は4億円弱と、比較的小規模のよ

うです。


そういう面では、SBIグループから、約

25億円の新たな出資を受ける島根銀行

の資本業務提携とは異なる性格のものだと

思います。


ただ、昨年12月に日本経済新聞が「金融

庁が不振地銀10行を重点監視する」と報

じた10行に含まれている可能性が高いと

思います。


なぜなら、同行の預金残高は約7千億円、

融資残高は約5千億円と、地方銀行の中で

は小規模のグループに入るからです。


規模が小さいことだけをもって、銀行が健

全ではないとはいえませんが、基盤が脆弱

であるという面は否めないでしょう。


今回の記事の結論のひとつめは、今後、筑

邦銀行のようなSBIグループによる資本

業務提携が、他の規模の小さな地方銀行

対して続けて行われていくのではないかと

いうことです。


ふたつめは、出資をする側であるSBI

ループが、出資先をどう束ねていくのかが

注目されるということです。


現時点では、個別の銀行に出資をするだけ

の段階ですが、それは「地銀連合構想」の

実現の第1歩にすぎないものでしょう。


そこで、「地銀連合構想」に組み込まれそ

うな銀行と融資取引のある中小企業はどう

すればよいのかというと、現時点では、不

測の事態に備えて、複数の銀行と融資取引

をしておくことをお薦めします。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200117221817j:plain

 

社会に役立たない会社は存在しない

先日、ある経営者の方から、「これまで一

般の会社は、利潤追求を最優先する活動を

してきたが、これからは、CSV経営の考

え方を採り入れて、社会的課題を解決する

活動をしなければならない」というお話を

聴きました。


ちなみに、CSV経営については、私も、

以前、説明したことがあります。


(ご参考→ https://bit.ly/2QY7S6U


このCSVという考え方は、米国の経営学

者のポーターによって、2006年に提唱

された概念なので、言葉としては新しいも

のですが、考え方そのものは新しくないと

私は考えています。


まったく同一とは言いませんが、日本に古

くから伝わる、近江商人三方よしという

考え方と大きく変わらないと思います。


ただ、日本の経営者は新しい経営用語に弱

く、それを流行語のように使いたがるとい

う面があるのではないかと思っています。


しかし、今回、CSV経営について言及し

たのは、そのような批判をしようと考えた

からではありません。


CSVを意識しているかどうかは別とし

て、日本の会社の100%は、すでに、社

会的課題の解決に貢献していると、私は考

えています。


例えば、私は過疎化の進んでいる地域に住

んでいますが、最寄りのスーパーマーケッ

トは、その地域の買い物難民を増やさない

ようにすることを意識して、閉店せずに営

業を続けてくれています。


また、近隣にいくつか製造業の会社があり

ますが、それらの会社も、地域の雇用維持

に貢献し、近隣の方たちから感謝されてい

ます。


もちろん、それらの会社も「利潤の追及」

を最優先しているかもしれませんが、だか

らといって社会的課題の解決に何ら貢献し

ていないうことではありません。


しかしながら、前述のような経営者の方

は、「CSV経営を採り入れなければ、会

社の事業活動は社会的課題を解決すること

にならない」という前提で話をしているこ

とに、私は疑問に感じます。


民間会社といっても公器なのですから、そ

の会社の活動は、社会に貢献することにな

ることは当然です。


そのようなことに気づかない経営者の方が

いるとすれば、その方の経営する会社は、

何かを大きく見誤っているのではないで

しょうか?

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200116170620j:plain

 

リーダーシップとアイメッセージ

社会保険労務士の後藤功太先生が、後藤先

生のブログに、アイメッセージについて書

いておられました。


(ご参考→ https://amba.to/2RgtxGw


記事の主旨は、部下などに改善をしてもら

いたことがあるときは、「●●さん、この

仕事を進める際にはこんな点に気を付ける

といいかもしれませんね、そうすると、ど

のようなやり方が考えられますか?」とい

うように、アイメッセージと質問を組み合

わせる、すなわち、自分の想いや考えを伝

えたうえで質問をして、相手の想いを引き

出すとよいというものです。


アイメッセージは、すでに多くの方がご存

知と思いますが、念のために説明すると、

「あなた(You)が●●をしないのは、

間違っている」というように、Youを主

語にする伝え方がユーメッセージで、「私

(I)は、あなたが●●してくれると助か

る」と、Iを主語にする伝え方がアイメッ

セージです。


アイメッセージの方が、聴き手が柔らかい

印象を受け、また、話し手の要望を伝えて

いるだけなので、正しい、正しくないとい

う議論にならないという利点があります。


そして、今回、私が、後藤先生のブログを

引用したのは、アイメッセージを使うこと

は、組織の習熟度を高めることになるので

はないかと感じたからです。


すなわち、例えば、社長が従業員の方に対

して、「君(You)の行動は間違ってい

る」と伝えたとき、ちょっと飛躍している

かもしれませんが、「この会社の意思決定

は、社長がひとりで行う」と受け止められ

てしまう可能性があるのではないかと思い

ます。


一方で、「君の担当する業務の方針につい

て、私(I)はこう思うのだけれど、もう

改善の余地がないかどうか、担当者として

の意見を聞かせてほしい」と伝えれば、会

社の意思決定は、経営者と担当者の双方で

検討しながら決めて行くものと認識される

ことになり、従業員の方も能動的、かつ、

自立的に活動するようになるのではないか

と思います。


このことも、あえて私が書くまでもないよ

うなこととは思うのですが、少なからず、

従業員の方に対して、「黙って指示に従っ

て動いて欲しい」と考えている経営者の方

を見ることがあるので、今回、記事にした

次第です。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200115223109j:plain

 

人手不足倒産の増加

東京商工リサーチが、2019年の「全国

企業倒産状況」を公表しました。


(ご参考→ https://bit.ly/36Sixpk


私が注目した点は、(1)負債総額は、約

1.4兆円で、過去30年間最少、(2)

件数は8,383件で、前年比1.7%の

増加、(3)人手不足関連倒産が、調査開

始以来で最多の426件などです。


負債総額が少ないのは、倒産した上場会社

が1社のみだったということが主な理由と

思われますが、倒産件数では、リーマン

ショック以降減少していたものが、上昇に

転じたという点は、注目すべきことだと思

います。


中小企業にとって、現在の経営環境は、決

して追い風が吹いているとはいえないもの

の、だからといって、強い向かい風が吹い

ているとも言えないと思います。


そのような中、倒産件数が上昇に転じた理

由のひとつは、中小企業金融円滑化法(モ

ラトリアム法)が2009年12月に施行

されてから、金融庁が金融機関に求めてい

た、貸付条件の変更実施状況の報告が、

2019年3月で休止されたことが挙げら

れるのではないかと思います。


(ご参考→ https://bit.ly/35MhPsg


時限立法であった同法は、2013年3月

に終了しますが、その後も、貸付条件の変

更実施状況の報告が、表向きは任意とはい

え、金融機関に実質的に義務化されていた

ため、条件変更の実行率は、97%程度に

なっていたと言われています。


その報告も、前述のように、2019年3

月に休止されたことから、形式的にはなく

なったことになっている中小企業金融円滑

化法が、その時点で実質的にも効力がなく

なったと言えるでしょう。


私は、中小企業金融円滑化法は、リーマン

ショックや、東日本大震災の直後は、ある

程度は、中小企業の資金繰を維持する役割

を担っていたと言えると思いますが、現時

点では、必要性は低く、前述の報告の休止

は妥当だと思います。


そういった面では、厳しい言い方ですが、

同報告の休止以降、金融機関に融資の条件

変更に応じてもらえない会社があったとす

れば、それは止むを得ないものと考えてい

ます。


もうひとつ注目すべきことは、まだ割合が

低いとはいえ、人手不足関連倒産が増加し

ていることです。


さらに、運送業では、前年の238件から

254件に増加していますが、これは、ド

ライバー不足による人件費高騰が影響して

いるということを考えると、実質的な人手

不足倒産はもっと多いのかもしれません。


そう考えれば、中小企業の経営を安定化さ

せるには、資金調達だけでなく、人材確保

の巧緻もますます重要になっていると言え

ます。


この、人材を定着させるスキルは、経営者

としての能力の問われるところでもあり、

そういった面では、単に事業のスキルがあ

るというだけでは、これからは経営者とし

ての評価は得られにくくなっていくものと

思います。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200114202219j:plain

 

失敗を認めないと改善はない

私ごとで恐縮ですが、いま、介護中の母親

の持ち物を片付けています。


その量が多くて片付けがとてもたいへんな

のですが、先日は、箪笥を片付けました。


箪笥といっても、使っているものをわざわ

ざ片付けたのではなく、プレハブの倉庫に

しまってあったものです。


その箪笥は、母親の姉が亡くなったとき、

母が引き取ったものです。


母が姉から箪笥を引き取ることに問題はな

いのですが、使うために箪笥を引き取った

というよりは、箪笥を捨てないために引き

取ったという感じです。


そして、その箪笥以外にも、母が買ったり

もらったりしたものの、すぐには使わない

というより、恐らく、死ぬまで使わないで

あろうというものを、わざわざプレハブの

倉庫を自宅の敷地に建てて、それらを箪笥

と一緒に保管してきました。


でも、結局、使わないものを保管するため

だけに倉庫を作ったようなもので、しまっ

てあったものは、ずっと使わないままでし

た。


使えるものを捨てずに大切にするという考

え方は、私も賛同しますが、それらを使わ

ないまま、わざわざ費用をかけて倉庫にし

まったままにするだけでは、捨てると同じ

どころか、捨てるよりも愚かなことだと思

います。


つまるところ、私の母は、ものを捨てると

いう判断をしたとき、将来、それが失敗し

たということになって後悔をすることを避

けるために、使わないものを捨てずに倉庫

に保管してきたというだけのことです。


ただ、たまたま、家の敷地が広く、新たな

倉庫を建てるスペースがあったために、母

の愚かな判断が表面化しにくい状態が続い

てきたということです。


ここまで母親の悪口を書いてきましたが、

母に限らず、私も気づかないうちに、自分

の失敗を隠し、正当化する行為をしている

可能性があります。


すなわち、人間の活動は、経済的要因、社

会的要因のほかに、生物的な要因に影響を

受けているので、自分自身は理論的に行動

していると思いつつ、実際は、自分を正当

化する行動をしているということは、ここ

で述べるまでもありません。


私が、少しずつ改善しているとはいえ、メ

タボリックシンドロームの状態から抜け出

すことができないのは、そのよい例です。


だから何が言いたいのかというと、できる

だけ早いサイクルで自分自身の行動を見直

すことで、少しでも、自分の非論理的な行

動を改善することが可能になるということ

を、母親の「ガラクタ」の片付けをしなが

ら感じたということです。


その見直しの方法は、「日報コンサルティ

ングを受けること」といいたいところです

が、日報コンサルティングに限らず、月1

回のPDCAでもよいと思います。


(ただ、このPDCAの実践そのものも、

なかなか実践されないわけですが、それに

関しては、私の過去の配信記事をご覧いた

だきたいと思います)


結論は、自分のことは自分で見えにくいと

いう前提に立って、常に自分を見つめ直す

ことが大切ということです。

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200114154549j:plain

 

事業計画書が画餅になる理由

経営コンサルタントの中村仁さんが、中村

さんのメールマガジンに、ご自身が育児を

しながら仕事をしておられるということを

書いておられました。


中村さんは、生後7か月のお子さんの育児

をしているため(ご夫人もフリーランス

してお仕事をしておられるようです)、1

日に仕事に割くことができる時間は、4時

間に限られるそうです。


そのような制約がある方は、限られた時間

で多くの仕事ができるよう、生産性を高め

るということが考えられますが、やはり、

それだけでは限界があり、中村さんは優先

順位をつけて仕事を絞り込んでいるという

ことです。


さらに、中村さんは、多くの時間を仕事に

あてられる人の方が、たくさんの仕事をし

ようとしてしまい、逆に、仕事が計画通り

にできなくなってしまうということをご指

摘しておられました。


私も中村さんと同じ考えを持っており、顧

問先の事業改善のお手伝いをするときに、

事業計画の立案の際は、単に、売上の推移

だけを計画するのではなく、その売上を得

るために必要な作業時間や従業員数まで計

算しないと、画餅になってしまうとお伝え

しています。


このことは、誰でも容易に理解できること

なのですが、結構、見落とされがちなこと

です。


そして、今回、中村さんのメールマガジン

に書かれていたことを引用したのは、事業

を絞り込むことは、心理的な要因で、なか

なか実践できないということをお伝えした

かったからです。


中村さんは、育児のために、1日に4時間

しか仕事ができないので、ある意味、否が

応でもそうせざるを得ない状況にあるとは

いえ、それでも、効果的な取り組みを実践

しておられるということは、とても参考に

なると思います。


中小企業は経営資源が少ないので、それを

いかに有効に活用するかが事業改善の鍵で

あり、そのための有効な手法が事業の絞り

込みなのですが、経営者の立場とすれば、

事業の幅を狭めることで、売上を減らすこ

とにつながってしまうのではないかという

恐れがあるために、無意識のうちに、多く

のことに手を広げようとしてしまいがちで

す。


でも、そのことがかえって計画倒れを引き

起こすという皮肉な結果につながります。


今回の記事の結論は、余裕があるときこそ

間違った判断をしてしまう心の隙ができて

しまうので、十分な注意が必要ということ

です。

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200113193216j:plain

 

バナナ半分の幸せ

昨年の8月ですが、脳科学者の茂木健一郎

さんが、ラジオ番組で、ライブドア元社長

堀江貴文さんとお会いした時のことをお

話しておられました。


(ご参考→ https://bit.ly/2tS3BZr


すなわち、堀江さんが長野刑務所に収監さ

れている時、茂木さんが面会に行ったそう

です。


茂木さんを前にした堀江さんは、「茂木さ

ん、会いに来てくれてありがとう!今週は

ね、(食事のときに)1人半分ずつバナナ

が出るんだ!」と、「数日後に遠足を控え

ている子どもが、遠足を楽しみにしている

ときのような顔」をしていたそうです。


もちろん、刑務所の中では、食べものを自

由に食べられないので、そのような環境で

は、堀江さんのような美食家でも、バナナ

を半分食べられるだけで、とても大きな幸

せを感じることができるようになるという

ことに、茂木さんはとても驚いたというこ

とです。


とはいえ、人が幸せを感じる要因は、環境

ではなく考え方によるということは、脳科

学者の茂木さんは以前から理解されておら

れたようです。


また、宗教評論家のひろさちやさんも、ご

著書、「がんばらない、がんばらない」の

中で、「おいしいものを食べると考えるの

ではなく、おいしく食べると考えることが

大切だ」と述べておられるように、私がこ

こで改めて説明するまでもなく、目新しい

考え方ではありません。


(ご参考→ https://amzn.to/35KfUVd


ただ、以前、「『困っている』が口癖の経

営者の方は、だれからも協力してもらえな

くなる」ということを述べましたが、その

ような経営者の方は、「自社を助けてくれ

る人がいないから、自社の業況はよくなら

ない」と言っているようなもので、ひろさ

ちやさんの指摘するような、「おいしいも

のがないから、自分は幸せになれない」と

考えている人と同じということでしょう。


(ご参考→ https://bit.ly/3a2wS4e


ただし、ここで、経営者の方に道徳的な考

え方をして、わずかなことにも感謝するよ

うになりましょうということを述べるつも

りはありません。


でも、どういう経営者が評価され、周囲の

人から協力してあげたいと思ってもらえる

ようになるかということを考えると、「半

分のバナナ」に幸せを感じることができる

人がそのような人になると思います。


そういう私も、ちょっとしたことにすぐに

不満を口にしてしまっており、大いに反省

しなければならないと思っています。

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200112102553j:plain