鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

口座維持手数料

先日、日本経済新聞に、「マイナス金利

深掘り、口座維持手数料の導火線に?」と

いう記事がありました。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/2lEhCpv


記事によれば、「貸出金利が一段と低下し

た場合、収益の下押し圧力に耐えきれなく

なった金融機関が預金に手数料を課し、預

金利を実質的にマイナス化させることも

考えられる」と日本銀行の鈴木人司審議委

員が講演で述べたと伝えています。


いまは、銀行にとっては、仮に預金の利率

が0%であっても、もうけにはならないと

いう時代のようです。


本旨からそれますが、日本は大量の国債

発行しており、財政が破たんする危険が高

いという主張をしている人がいます。


もし、そうであれば、日本国政府の発行す

国債を買いたいと思う人は現れず、国債

金利は高くなります。


でも、国債金利(≒日本国通貨の金利

がほぼ0%であるということは、日本国政

府の信用度が高く、必ず償還されると評価

されていることの裏付けであり、ある意味

日本国民にとっては幸せなことです。


なぜなら、世界で日本ほど低金利になって

いる国は数えるほどしかありません。


例えば、私は10数年前にインドネシア

ジャカルタに行きましたが、買い物をする

には、高額紙幣を何枚も使わなければなり

ませんでした。


高額といっても、対日本国通貨の為替相場

は低いので、1ルピア≒0.0075円、

すなわち、100ルピアでようやく75銭

になります。


そのため、日本で言えば1,000円未満

の買い物でも、1万ルピア紙幣を何枚も出

さなければなりませんでした。


ちなみに、インドネシアでは10万ルピア

紙幣もありますが、これでようやく750

円相当ということになります。


すなわち、インドネシアの人が日本に来て

750円のラーメンを食べようとしたら、

自国でいえば10万ルピア紙幣1枚分の代

金を支払うことになるわけです。


このように、インドネシアの通貨は、先進

国の通貨と比較して相対的に信用が低く、

高額紙幣が必要になっているのだというこ

とを実感してきました。


当然、インドネシア金利は高く、銀行の

融資利率は約10%だそうです。


ただ、このインドネシアの状況が特異であ

るとは私は考えていません。


まだ、インドネシアは穏やかな方で、世界

には、もっと金利が高い国がたくさんあり

ます。


むしろ、日本のようなマイナス金利の国が

異常と言えると私は思っています。


そして、日本はそれだけ恵まれた状況にあ

るということです。


ただ、心理的に、「利息が0%では、なん

だか損をしている感じがする」という気持

ちも分からなくもありませんが、それは、

外国から見て、日本の国のお金は人気があ

るからだと理解していただきたいと思いま

す。

 

話を戻して、銀行が口座維持手数料を預金

者に求めることについてですが、これは、

私は仕方ないことだと思っています。


この銀行口座は無料で開設できるというの

は、日本独特の慣行で、外国と比較すると

珍しいことのようです。


欧米では、銀行口座を開くと、銀行に定期

的に手数料を支払うか、最低預入残高を要

求されますが、これは、銀行からみれば、

口座を管理するコストがかかっていること

から当然のことと考えられています。


むしろ、日本が無料であることの方がおか

しく、本来なら預金者が受け取るべき預金

金利が、口座管理コストの分だけ少なく

なって受け取っている状態だといえます。


これも本旨からそれますが、日本の銀行は

欧米の銀行と比較して、いわゆる睡眠口座

が多く、管理が行き届いていないという批

判をされることがありますが、口座維持手

数料を受け取っていない日本の銀行を、単

純に欧米の銀行と比較することは不公平で

あると言えるでしょう。


もし、日本の銀行も口座維持手数料を受け

取っていれば、もっと精緻な口座管理がで

きるし、また、預金者も、睡眠口座となり

やすい1万円未満の預金口座を放置してお

くようなことは避けるでしょう。


話を戻して、私も前述の鈴木審議委員の考

えに賛成です。


銀行に不採算の業務があれば、銀行の経営

の安定性を損なうからです。


他業種の同様の例では、数年前までは、宅

配便の採算がとれない状況にあり、それは

運送会社の経営を圧迫し、事業の継続が危

ぶまれたことから、宅配料金の値上げは受

け入れざるを得ないという世論になったこ

とがあります。


私は、銀行の預金業務も同じ状況にあると

思います。


いまでも、「銀行には自分のお金を預けて

やっているのに、それをATMで引き出す

ときに手数料をとるとは何事だ」という不

満を持つ方もいますが、いまは、銀行は、

不採算な預金者との取引は避けたいと考え

ている状況になっていることの理解が必要

だと思います。


そして、銀行の経営が危なくなれば、その

銀行から融資を受けている中小企業にも悪

影響が出てくることになりますので、多く

の国民の冷静な判断が求められると思いま

す。

 

 

 

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●9月13日開催融資勉強会のお知らせ

 

私が銀行出身のコンサルタントということ

もあり、頻繁に、士業の方、開業予定者の

方、保険会社の方など多くの方から、融資

に関するお問い合わせがよせられています。


そこで、これまで受けたお問い合わせなど

を交えながら、融資に関する勉強会を開く

ことにしました。


■日時 9月13日(金)

19時00分~21時00分


■会場 新宿アントレサロン


東京都新宿区新宿2丁目12番13号

東京メトロ丸ノ内線副都心線、及び、都

営地下鉄新宿線新宿三丁目駅」C8出口

より徒歩1分


地図→ https://bit.ly/16cEDSR


■参加費 1,000円(消費税込み)

当日、会場でお申し受けします。


■申し込み方法

こちらのページにリンクされているフォー

ムに、お名前、メールアドレスなどのご記

入をお願いします。

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地方銀行の商社設立

先日、日本経済新聞に、「地銀、地域商社

を設立しやすく金融庁規制緩和」という

記事がありました。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/2kjhdZH


記事によれば、「金融庁は銀行が地域商社

をつくりやすいように9月にも規制を見直

す。


監督指針で銀行が取り組める事業範囲を明

確にし、地方銀行に設立を促す。(中略)


商社が地元産品の販路を開拓したり、中小

企業の経営相談に乗ったりすれば、地銀の

収益源や融資先は増えると期待される。


地域商社は地銀の活路になるとみて環境を

整える」とあります。


私も、金融庁のこの方針に賛成です。


銀行は、多くの会社に融資をしていること

から、一般的な商取引相手よりも詳しい情

報を持っています。


だからこそ、ビジネスマッチングや、ノウ

ハウの提供も可能になります。


それを活かすための事業のひとつが、「地

域商社」ということになるでしょう。


ただ、銀行は免許事業によって融資をする

ことが許されていることから、その立場で

得られた情報を自社のために利用すること

は公正な競争を妨げる恐れがあるため、こ

れまで、銀行の業務範囲は制限されていま

した。


しかし、現在のような、人口が減少しつつ

ある地方都市においては、銀行の持つ有用

な営業情報を経済活性化のために活用する

ことは、望ましいといえるでしょう。


そして、この銀行による「地域商社」は、

銀行の取引先のビジネスチャンスを増やす

とともに、銀行にも収益をもたらしてくれ

る一石二鳥の施策にはなると思います。


ただし、私は、地域商社を銀行がつくった

だけでは、銀行の経営基盤が安泰するとは

考えていません。


そのひとつは、「地域商社」で恩恵を受け

る銀行の融資相手は限定的だからです。


地方銀行の融資相手は、規模の小さな会社

が多く、もともと商社を必要としていない

会社も相当数あるからです。


また、一般的な地方銀行は、融資額よりも

預金額の方が多く、預金業務から得られる

収益についても改善しなければ、銀行全体

の収益が安定するとはいえないでしょう。


したがって、この新しい動きは歓迎すべき

ものであるものの、これだけでは地方銀行

が現在かかえている課題が解決するわけで

もないということに注意が必要です。

 

 

 

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残業なしで社員の給料を増やす方法

神奈川県綾瀬市にある、ワイヤーカット加

工専門会社、吉原精工の会長、吉原博さん

のご著書、「町工場の全社員が残業ゼロで

年収600万円以上もらえる理由」を拝読

しました。


(ご参考→ https://amzn.to/30V0GLt


吉原さんは、同社創業者でもありますが、

2015年に、ご子息に社長業を譲る前の

2008年、リーマンショックの煽りを受

けて経営危機に陥ったことをきっかけに、

残業を0にすることにしたそうです。


その結果、定時の5時に退社できるよう、

従業員の方たちが率先して工夫をしたり、

スキルが高まったりしたほか、社長からの

指示待ちもなくなって、自分の判断で仕事

をするようになったそうです。


また、副次的な効果として、残業がないこ

とで、従業員が十分な休息をとることがで

きるようになり、仕事への集中力が高まっ

て、年間の加工ミスの件数が半減したそう

です。


と、ここまで述べてきたことについては、

「そういう美談は、いままで何回も聞いて

いるが、現実はそんなにうまく行かない」

と感じる経営者の方が多いと思います。


私も、これまで中小企業のご支援をしてき

た経験から、同じようなことを感じている

ので、なぜ、吉原精工ではそれが実現でき

たのかを探るため、注意深く本を読んでみ

ました。


しかし、最終的には、吉原さんの意志の強

さではないかと感じました。


その根拠として、リーマンショックの際、

吉原さん自身を含め、従業員の給与は、全

員一律30万円にしたそうです。


しかし、業績が回復したら、直ちに従業員

に報いたいと吉原さんは考えていたことか

ら、2011年からは、年2回の賞与は、

会社の利益の半分を、従業員7人で分ける

ということにしたそうです。


ただし、手取りで100万円(名目支給額

は140万円)を上限としたそうです。


そのため、会社の利益が2,000万円に

なれば、1,000万円は従業員の賞与と

なり、7人が上限額の手取り100万円を

もらえることになります。


そして、吉原さんは、会社の休憩室に、会

社の毎月の売上額と利益額を張り出してお

いたので、従業員は利益が2,000万円

になるよう、モチベーションを高めていっ

たということです。


このように、会社の収支状況を従業員に公

開し、しかも利益の半分を賞与として還元

するという姿勢を見せれば、残業がなくて

も従業員は利益を得ようと努力するように

なるでしょう。


ただ、このようなことを実践するには、社

長として、本当に覚悟のいることだと思い

ます。


しかし、吉原さんはそれを実現させている

ので、実現不可能ではないということも証

明されたことになります。


すなわち、やるかやらないかということに

帰結するということです。


ちなみに、吉原さんは、取引銀行に、決算

書だけではなく、月次試算表も毎月持って

行き、さらに、会社で起きたことを逐次報

告しているそうです。


その結果、銀行からは、「これだけ貴社の

情報があれば、融資稟議書を書くには十分

です」と言われているそうです。


残業をなくす、利益の半分を賞与にする、

毎月銀行に業況を報告する、こういったこ

とを積み重ねることが、まさに、「町工場

の全社員が残業ゼロで年収600万円以上

もらえる理由」として、十分説得力あるも

のとなるのではないでしょうか?

 

 

 

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仕事の最も上位にある目的は成長すること

サンリオピューロランドを運営する、サン

リオエンターテイメント社長の小巻亜矢さ

んのご著書、「来場者4倍のV字回復!サ

ンリオピューロランドの人づくり」を拝読

しました。


(ご参考→ https://amzn.to/2MSoGeC


小巻さんが同社顧問に就任した2014年

度のピューロランドの年間入場者数は、約

126万人でしたが、2018年度は約

219万人に伸びているそうです。


なお、小巻さんは、2016年にピューロ

ランド館長に、2019年に社長に就任し

ておられます。


では、小巻さんはどうやってピューロラン

ドの来場者を増やしたのかということです

が、詳細は小巻さんのご著書をお読みいた

だきたいのですが、その肝は、「仕事をす

るうえで最も上位にある概念は、人間とし

て成長することであり、プロジェクトの成

功や売上げ達成は、その下にある概念であ

り、目標」(257ページ)ということだ

と思います。


会社の事業は利益を得なければならないと

いう目的がありますが、それは従業員の苦

痛の代償で達成されるものであれば、従業

員の能力は十分に発揮されません。


でも、従業員が成長できるというよろこび

が得られるのであれば、事業に携わる中で

大きな能力が発揮されます。


すなわち、事業の目標と従業員の目標が一

致すれば、両者にとって大きな果実が得ら

れるということです。


しかし、それは言易行難であり、まさに経

営者の能力が問われるところです。


では、小巻さんは、具体的にどのようなこ

とをしたかのというと、そのひとつが、従

業員エンゲージメント指数の導入(230

ページ)です。


エンゲージメントとは約束という意味です

が、経営用語としての従業員エンゲージメ

ント指数は、従業員の会社に対する忠誠度

や貢献意欲を測る指標です。


単に、「従業員同士で仲が良い」、「モチ

ベーションが高い」という曖昧な評価は行

わず、外部の会社に従業員の心の状態(や

りがい、人間関係、待遇への満足度など)

を測ってもらっているそうです。


そして、ここで大切なことは、単に、従業

員の心の状態を数値化するだけではなく、

何らかの兆候が出たら、すぐに対策を講じ

て従業員に説明することだそうです。


もし、データを集めただけで、何もしてい

ないと感じてしまわれると、従業員の士気

が下がってしまうので、このようなフィー

ドバックが大切になります。


小巻さんの行った改善策はこれだけではあ

りませんが、ピューロランドの業績はV字

回復しているという成果が出ており、彼女

の取組は大いに参考になると思います。


私は、経営者の役割は、組織づくりや仕組

みづくりと考えていますが、まさに小巻さ

んは、その役割を担っていると言えると思

います。

 

 

 

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9月19日(木)

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鄙事多能

先日、イエローハット創業者の鍵山秀三郎

さんのメールマガジンに、鄙事多能(ひじ

たのう)について書かれていました。


「『鄙事』とは、取るに足らない些細なこ

と。


『多能』とは、器用の意。


子供のころ貧しく、どんな仕事でもこなさ

なければならなかった孔子が遺した言葉で

す。


人生は、難しいことばかりを学ぶことでは

ありません。


身辺の雑事といわれるようなことを、きち

んと処理できることが何より大事です」


ちなみに、本旨からそれますが、孔子は、

「吾(われ)少(わか)くして賤(いや)

し、故に鄙事に多能なり、君子、多ならん

や、多ならざるなり」と言っているようで

す。


すなわち、「私は若い頃は身分が低かった

ので、たくさんのことをしなければならな

かったが、君子(聖人)として多くのこと

ができるということは必要だろうか、いや

必要ではない」ということであり、当時と

しては、鍵山さんの解釈とは逆に、君子は

「多能」である方がよいという価値観はな

かったようです。


話を戻して、鍵山さんは、経営者こそ「取

るに足らない些細なこと」ができることが

必要だと考えており、かつ、それをご自身

で実践されて来られたということは、すで

に多くの方がご存知の通りです。


そして、この鍵山さんのお考えは、ここで

改めてご紹介するまでもないことなのです

が、では、なぜ、私が言及したのかという

と、「鄙事」を大切にしている人、すなわ

ち、口だけではなく行動がともなっている

人は、説得力があるということを、伝えた

かったからです。


例えば、私が銀行勤務時に、顧客と次のよ

うなやり取りが何度もありました。


すなわち、「今回の融資の申し込みは、な

んとか1週間で融資審査部の承認が得られ

ましたが、次に融資を申し込むときは、希

望日までに承認が得られない可能性もある

ので、きちんと1か月前までに必要な書類

を揃えて申し込みをするようにしてくださ

い」とお伝えしたとき、その約束を守って

くれる会社と、守ってくれない会社があり

ました。


残念なことに、守ってくれる会社は少数派

でした。


もちろん、これだけがすべてではありませ

んが、小さな約束を守ってもらえる会社の

方が、経営者が口にする言葉の説得力は高

まります。


現在も、「銀行はなかなか融資に応じてく

れない」という不満を持つ会社経営者の方

も多いと思いますが、例えば期限を守ると

いう鄙事を積み重ねるだけでも、銀行の反

応は違ってくると思います。


これは、私自身にも言えることですが、

困ったときだけほかの人に泣きつくような

ことをしてばかりいると、いつか、誰から

も信用されなくなってしまいます。


普段から、鄙事を大切にして行動している

ことが、いざという時に、多くの人から助

けてもらえるようになるでしょう。

 

 

 

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融資審査をする時の不良資産の見分け方

先日、ある税理士の方から、「銀行では、

融資をしている会社の貸借対照表から、回

不能売掛金や、資産価値のない棚卸資

産を見つけると言われているが、どうやっ

て見つけているのか」という質問をされま

した。


以下は、あくまで、私個人の考えですが、

次のように答えました。


1つめは、直接的な方法ですが、それは、

資産の明細を検証することです。


もし、数年前から残っている売掛金や、棚

卸資産があれば、銀行はそれらを実質的な

不良資産と判断します。


中には、会社側が、まったく無価値ではな

く、回収したり、販売したりできる可能性

があると考えているものもありますが、保

守主義の原則の観点から、不良資産の可能

性が高いと判断します。


保守主義の原則については、直接的な説

明ではありませんが、こちらをご参照下さ

い。→ https://bit.ly/2MNQ4KU


また、資産の明細に「その他」の金額が異

常に多い場合も、不良資産が含まれている

可能性が高いと判断します。


2つめは、前回の決算書と比較して、売掛

金や棚卸資産が増加した場合は、増加分の

うち、何割かは不良資産の可能性が高いと

判断します。


もちろん、売上が増加したときは、売掛金

棚卸資産も増加しますが、売上の増加率

よりも、売掛金棚卸資産の増加率が高い

ときは、増加分に不良資産が含まれている

可能性が高いと判断します。


3つめは、同業者と比較して、売掛金や棚

卸資産の割合が高いときは、その高い部分

については不良資産の可能性が高いと判断

します。


4つめは、実地に会社の状況を見ることで

す。


具体的には、会社を訪問したときに、倉庫

に異常に在庫が多いときは、資産価値がな

いものがある可能性が高いと判断します。


また、経営者や経理担当者の話をききなが

ら、その中で売掛金が回収できなくなって

しまったり、そうなりかけているというこ

とに言及していないか、棚卸資産の中に、

もう売れそうにないものが残っていないか

ということに言及していないかを注意深く

きいています。


以上のような方法で、不良資産がないか、

ある場合はどれくらいかということを探っ

ています。


なお、1つめの方法を除き、いずれも客観

性のある方法ではありませんが、中小企業

は、二重帳簿といった、多くの労力を必要

とし、強い意図をもって行う粉飾をしてい

る可能性は低いので、不自然な資産は比較

的見つけやすいという印象を私は持ってい

ます。


とはいえ、客観的な方法ではなく、疑いが

高いというレベルでの分析は、どれくらい

銀行内部で共有されるのかというと、これ

は銀行によって異なると思いますが、客観

的な根拠がなければ、「資産のうち●●●

は不良資産の可能性がある」とメモ程度に

記録されるか、記録はされない場合もある

と思います。


ただ、融資審査スキルの高い銀行職員は、

会計データの分析から不自然さが感じられ

れば、前述のようなメモがなくても、融資

審査を行う上で、自らその疑いを持った上

で融資審査を行うでしょう。


ここまで述べて来たことからも分かるよう

に、不良資産の把握は、大部分が「疑いが

大きい」というレベルでの把握です。


これに対し、「自社の資産を実際に見ても

いないのに、銀行職員の腹分目で不良資産

と断定されてしまうとすれば、納得がいか

ない」と感じる経営者の方もいると思いま

す。


これについては、銀行側も、実際に確かめ

ていないという前提での判断ですので、決

して断定的な情報とは考えていません。


ここで重要になる考え方は、ビジネスで利

益が得られるのは、リスクを負うことの裏

返しでもあるということであり、銀行自身

もそれをよく分かっています。


なぜなら、銀行が融資申込者に融資をする

ことは、銀行がリスクを負うことであり、

だからこそ、その見返りとして融資利息を

融資をした相手から受け取ることができま

す。


一般の事業でも、売掛金を増やしたり、在

庫を持つということは、リスクを負うこと

であり、それは利益の源にもなります。


ただ、売掛金や在庫といった資産が増えて

いるにもかかわらず、事業の成果は、利益

率が低いか、赤字であれば、そのような資

産は「死産」であり、在庫は「罪庫」とい

うことになってしまいます。


ですから、銀行が不良資産と判断すること

は、会計的な観点から不良資産というより

も、利益を生み出す資産になっていないと

いう意味での査定という面が強いと言えま

す。


むしろ、会社側が、自社で経理規則などを

作成し、それに基づいて帳簿処理をしてい

るだけでも、銀行から見て不自然な決算書

と受け止められることは少なくなると思い

ます。


ここまで、銀行が融資相手の資産をどう見

ているかということを述べましたが、私は

融資を受ける側が、このことを意識する必

要性は少ないと考えています。


なぜなら、会社は事業で利益を出していれ

ば、その方法が正しいのであって、銀行の

考え方に合わせて事業を行うということは

本末転倒だからです。


そして、利益を出している会社の決算書の

内容は、銀行から見て不自然なものとはな

りません。

 

 

 

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金融行政方針(3)

今回も前回に引き続き、金融庁が8月28

日に公表した、令和元年事務年度の金融行

政方針に関する私の感想を述べたいと思い

ます。


(ご参考→ https://bit.ly/2Zkzzwy


今回の金融行政方針の融資業務に関して最

も注目することは、監督指針の改正です。


これは、すでに4月に行われたものです

が、それに基づく実際の監督は、これから

行われるようです。


では、改正された監督指針とはどういうも

のかというと、(1)(現状に問題がある

と思われる銀行に対し)融資利率などが今

後5年間続くと仮定したときの自己資本

率を算出→(2)地域の経済状況や顧客基

盤の見通しなどを加味し、将来の収益や自

己資本の見通しについて、総合的に妥当性

を検証→(3)その結果、概ね5年以内に

業務純益が継続的に赤字になるか、最低所

自己資本比率を下回ることが見込まれる

銀行に対し、検査等を実施したり、業務改

善命令を出す、というものです。


これだけでは抽象的ですが、要は、収益性

の低い銀行に対しては、改善のための動き

が鈍い場合は、従来よりも早めに検査や業

務改善命令などの「ムチ」を打つというこ

とです。


そして、前述の通り、これからそれを実行

していくということになるので、これもこ

れまで何度も述べてきていますが、特に小

規模の地方銀行の統合が加速していくもの

と思われます。


さらに、預金保険料率についても、「金融

機関に対して同一の預金保険料率が適用さ

れているが、現行の預金保険法において

は、各金融機関の健全性に応じて異なる預

金保険料率(可変料率)を適用することも

許容されており(中略)、規律付け・イン

センティブ付与としての機能も視野に入れ

(中略)、預金保険料率のあり方の方向性

について、関係者による検討を進める」

と、統合した銀行に対して預金保険料を引

き下げるという「アメ」の部分にも言及し

ています。


今回の記事の結論は、今年後半から、金融

機関の統合の動きが加速し、従来よりも表

面化していくものと、私は考えているとい

うことです。

 

 

 

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